検診の普及や内視鏡機器の進歩により、外科手術をせずに内視鏡で根治可能な早期癌が数多く発見されています。このような早期癌が増えるに従い、内視鏡治療も進歩しました。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD: Endoscopic Submucosal dissection)は、現在、消化管の早期癌に対する内視鏡治療として爆発的に普及しています。ESDは内視鏡内を通して使用できる特殊なナイフ(フックナイフ、ITナイフなど)を用いて、癌組織を粘膜下層から剥離する方法です。従来の内視鏡的粘膜切除(EMR: Endoscopic Mucosal Resection)より大きな癌をEn-bloc(一括)で切除することができます。
大規模な外科手術症例の検討から、胃や大腸の粘膜内癌は、ほとんどリンパ節転移を起こさないことが示されました。このような病変は、理論上、内視鏡による局所切除で根治可能です。ところがEMRで一括切除できる限界は約2cmで、これを超える病変は外科切除や分割切除が必要ですが、過侵襲や術後QOL低下、遺残再発などが問題でした。ESDはこれらの点を解決する画期的な治療法で、瞬く間に普及し、2006年に早期胃癌が、2008年に表在食道癌に対するESDが保険適応となりました。
早期大腸癌にも保険適応になると期待されていましが、大腸ESDは、腸管壁が薄いなどの解剖学的理由や手技的に非常に高度な技術が要求されることから、厚労省はこの手技を先進医療と定めました。先進医療は、有効性や安全性を確保する観点から一定の基準を満たした医療機関を厚労省が認可し、患者さんの経済的負担を軽減する目的で、いわゆる混合診療が認められます。
この度、当院で実践している大腸ESDの治療成績が評価され、2010年9月1日に県内第一号として大腸ESDを先進医療として行なうことが認可されました。
ESDで根治が期待できる早期大腸癌または腺腫で、
となっています。
患者さんに紹介状を持参のうえ、消化器内科外来を受診していただきます。精密な術前検査を行うことが厚労省の技術概要で義務付けられているので、外来で精密検査(拡大内視鏡や超音波内視鏡検査)を行い、治療の適否を判定します。
ESDの適応と判断したら、入院予約をとらせていただきます。
入院期間は約1週間程度です。当院で試算した大腸ESDの手技料は約150,000円で、その他の入院費用や食事代等は健康保険の適応となります。
ESDでの切除はどうだろうかと思われる病変を認めたら、気軽にご相談(ご紹介)いただければ幸いです。
(文責:消化器内科副部長 平澤 大)