仙台市医療センター仙台オープン病院は、昭和51年に公設民営のオープンシステム病院としてスタートしました.本院の大きな特徴は一般外来を持たないという点で、登録医の先生方からの紹介患者に対する高次診療と 24 時間体制の救急、そして検診事業を三本柱として地域医療に貢献しています.当時はこのような方式は斬新でしたが、現代の病院に期待される形態を先取りしたような形となり、地域医療支援病院の全国第1号として認定を受けています.
病院は急性期型病院として320床で運営しており、消化器内科は130-160床を担当しています.当病院の理念「思いやりのある心で信頼される優れた医療をめざします」のもと、スタッフ一丸となって日夜診療、臨床研究に従事しています.また、日本消化器病学会、消化器内視鏡学会をはじめとする各種消化器関連学会の認定施設、指導施設としての認定を受けています.
現在スタッフは常勤医が19名、レジデント3名で、内地留学者が2名合流して業務にあたっています.これまで、海外からの研修希望者も積極的に受け入れ、米国、エクアドル、ウルグアイ、フィリピン、マレーシア、台湾、中国、香港、韓国などの国々との交流を持ってきました.
初期研修制度には管理型病院として参加しており、毎年7名の初期研修医を受け入れています.後期研修医制度も整備されており、消化器内科など希望診療科に所属し2-5年ほどの研修が可能となっています.消化器内科に関しては単に診療技術の習得のみにとどまらず学会発表や論文執筆を行うことが duty となっており(図1)、これを満たしている場合には、常勤スタッフとしてさらに勤務を続けることも可能な環境となっています.当然ながら、このような研修プログラムを履修することにより消化器関連学会の専門医、指導医の資格を取得できるようになります.現在のスタッフは多彩な出身大学からなり、和気藹々とした中にもライバル心・向上心を持ちながら日々を送る、意欲あふれる職場となっています.

図 1 仙台市医療センター 消化器内科最近5年間の業績
(2003年から2005年は病院改築のため活動を一部控えた)
消化器内科では、超音波、 X 線、内視鏡を駆使して診療にあたっています.いずれの画像情報も電子的にファイリングされており、有機的に統合して診療に臨めるような環境になっています.これは同時に臨床研究にも威力を発揮し、効率的なデータの収集、整理、集計に反映されています.
内視鏡部門は特に力を入れている部門であり、消化器内視鏡センターが 2005 年春に全面新築され、高度医療を支える大きな柱となっています.総床面積は 900 平方メートルを越え、国内では有数の広さを確保し、内視鏡専用室9室、レントゲン併用室3室の計12室を使って診療を行っています.個々の内視鏡検査室は個室化されており(図2)、リカバリールームも広さを確保し、受検者のプライバシー・アメニティに十分配慮した環境を提供しています.各内視鏡検査室の画像は各部屋に設置された HDD レコーダとファイリングシステムに記録され、検査中の内視鏡像はリアルタイムにカンファランス室、スタッフ室に送られ、指導医、研修医が各々の立場で内視鏡研修に活用しています.また、センター内にあるデータ室ではこれらの画像情報の検索、集計、ビデオ編集、プレゼンテーションの準備などが容易に行えるよう機器が整備されており、活発な臨床研究活動を支えています.

図 2 個室化された内視鏡検査室
このような環境のもと、年間 16,000 件を越える内視鏡検査、治療を行っており( 2005 年:上部消化管 8700 件、下部消化管 5800 件、胆膵 600 件、超音波内視鏡 1100 件)、上部消化管はもとより下部消化管と胆膵の内視鏡の件数が多いのが特徴です(図3). 2003 年に導入した内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD) も年々増加し、 2005 年には年間 160 件に達しています.このようにして仙台圏のみならず県内、東北地方の病診連携、病病連携の中心の一つとして役割を担っています.手術例は消化器内科から外科へとシームレスに転科し、こちらも全身麻酔手術が年間900例に達し、さらに増加の傾向をみせています.

図 3 仙台市医療センター消化器内科消化器内視鏡件数
当施設での消化器内科研修の第一段階は、問診、理学所見、に始まり、腹部超音波検査をマスターすること、上部、下部の X 線透視検査ができるようになること、上部消化管内視鏡検査、 S 状結腸内視鏡検査、全大腸内視鏡検査を担当できるようになることなどを到達目標としています.これらを身につけたところでポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術 (EMR) 、 ESD 、 ERCP 、 EUS 、超音波ガイド下穿刺術、腹部血管造影など、一段高度な検査、治療法の習得へと進みます.後期研修の段階では消化器内科医として十分な素養が身につくよう、さらにトレーニングを積んでもらうことになります.その後、専門性を追求するという形で、バランスのよい消化器内科医、消化器内視鏡医として成長してもらうことを目標にしています.
当科での研修の特徴の一つとして切除標本の病理学的検討を通じての学習に力を入れている点が挙げられます.切除標本は肉眼所見からはじまり割面像、ルーペ像、病理組織学的所見を検討し、術前の画像診断との対比を徹底的に行い、何がどの画像にどのように反映されていたのかを理解し次の診療に生かすようにしています.
入院患者の診療は、初期研修医、後期研修1年までは2人主治医制の副主治医として担当します.各種消化器疾患の診断治療、 informed consent などを見学し、徐々に助手、担当医として診療を担当する力を身につけていきます.
前述したように、このような修練を積むことにより自ずと消化器病学会、消化器内視鏡学会、超音波医学会などの専門医にふさわしい実力が養われます.しかし、当科では単に技術の習得や専門医資格の取得が目標という研修希望者は受け入れていません.臨床研究にも携わりながら、常に向上心を持って医療に当たることが要求されます.一例として、英文の抄読会を週1回行っており、最新の知見を輪番で紹介し、議論を重ねています.この際、内容にとどまらず STARD initiative や Consort standard と合致しているかなど論文の構成、さらに論旨の展開、結論の妥当性などについても検討し、自分たちが論文を書く際の注意点を洗い出す作業も行います.当科は多数の患者を担当する施設であるため、診療上の問題点、よりよい診療は、など、目的意識を持って日々の診療にあたるよう心がけています.そして、問題の解決、診断・治療法の優劣などの臨床評価を目的に randomized controlled trial を企画、実行し、その結果を踏まえ evidence-based medicine の実践に貢献するように努めています.このようにして得られた情報は、前述したように積極的に学会発表、論文投稿を行い、広く共有化をはかるよう心がけています.
2003年からは治療内視鏡のライブセミナーも年1回開催し、内視鏡手技の普及にも貢献すべく努めています(図4).


図 4 治療内視鏡ライブセミナー
以上、われわれのグループを紹介させていただきました.今後も日本の Mayo Clinic を目指して、患者さんに一番近いところから正確な情報を発信、配信する作業を継続していきたいと思います.このような理念に賛同し一緒に診療・臨床研究をやりたいと考えてくださる方、大歓迎します.
Frontiers in Gastroenterology Vol.11 No.4 2006-10 掲載