1978年6月12日、17時14分マグニチュード7.4(震度5)の地震が仙台市を襲いました。気象庁により「1978年宮城県沖地震」と命名されたこの地震では、現在の仙台市域で、死者16人、重軽傷者10,119人、住家の全半壊が4,385戸、一部損壊が86,010戸という多大な被害が生じました。
そして、2011年3月11日、14時46分マグニチュード9.0(最大震度7)の地震が東日本を襲い、仙台市内では905名の方の死亡が確認されました。
もちろん災害は地震だけではありません。いつ起こるかわからない災害に対し、私たちは様々なものを備えておかなくてはなりません。その中の一つとして、感染症対策も重要となります。
災害が起きると、電気や水道が止まったり、食べ物や必要なもの、人手が足りなくなったりします。また、避難生活が長くなると疲れやストレスもたまりやすくなります。こうしたことが重なると、体の抵抗力(免疫力)が弱まり、普段よりも感染症にかかりやすくなります。例えば、避難所で集団生活をする場合にはインフルエンザや新型コロナウイルス感染症、風邪などの呼吸器感染症の流行リスクが高まります。
またトイレなど水回りの衛生が保てなかったり、手洗いの水が確保できない、食事の管理が徹底できないことなどで感染性胃腸炎の集団感染リスクも高まります。がれきの撤去作業に伴い、破傷風やレジオネラ症への感染も考えられます。
では、これらの感染症への対策として何が必要となるでしょうか?
まずは何といっても「手指の洗浄・消毒の徹底」です。ただし、手洗いの水の確保が困難な場合があります。その場合にはアルコール手指消毒剤を活用しましょう。また、ウェットティッシュなどを利用することも有効手段と考えます。「咳エチケット」を守りましょう。
呼吸器感染症(風邪やインフルエンザなど)の感染拡大を防ぐにはマスクの着用はとても有効です。また、マスクをしていない時に咳をする場合にはティッシュや手などで口を覆って咳をするようにしてください。その後は手指衛生を行ってください。食器や手拭きタオルなどを共有することでウイルス感染症が拡大する可能性があります。「共有しない」でください。サランラップやビニール袋を食器に被せることで食器を洗う手間が省けます。
生活をする場所については「整理・整頓・清掃」を行いましょう。特にトイレや炊事場などは感染リスクの高い場所となります。定期的に清掃ができるようにマニュアルや物品などの整備もしておくとよいでしょう。
破傷風など「ワクチン接種」により、発症を予防できたり、重症化を防ぐことができるものもあります。可能な限り、ワクチンの接種をしましょう。
がれきの撤去作業などをする際には皮膚の露出を裂け、長袖・長ズボン・長靴、ゴム手袋を装着し、マスクも装着してください。
災害時の感染対策は、日常的な対策に少し工夫を加えることで対応可能です。平時から基本的な感染対策を実践し、継続的に習慣化しておくことが重要です。
感染管理認定看護師 佐藤 由美子