『口腔ケア』とは、口腔内を清潔・健康に保ち、お口の働きを良好に維持するためのケアです。お口の状態・機能が正常であることは、心身の健康に大きく影響します。
口腔内を清潔に整えることは病気の予防につながり、しっかり噛めることや、お口から食べ物を食べられることは免疫力の向上や脳の活性化につながります。また、食べること・話すことは心のゆとりを生み出します。お口の重要な働きを良好に維持させるために、口腔ケアは大切です。健康かつその人らしい生活を続けるために口腔ケアは重要なのです。
『口腔の機能』
「食べる」 「話す」 「呼吸する」
具体的に口腔ケアは何をするのでしょうか?
➀まずは、口腔内をチェックしてみましょう
・歯に歯垢や歯石は付いていないか?
・痛みのある歯、虫歯、欠けた歯があるか?
・グラグラする歯、抜けてしまった歯はあるか?
・歯茎が腫れたり、歯茎から出血や膿はでていないか?
・口内炎はないか?
・口の中が乾燥していないか?
・舌苔(舌の汚れ)は付いていないか?
➁お顔のマッサージ
食べる・話すためにお顔の筋肉をよく動かすことが大切です。
また、お口のなかで重要な働きをしている唾液の分泌をよくするために行います。
➂口腔内の清掃
・歯の汚れと取る(歯ブラシ、歯間ブラシ)
・舌、粘膜のケア(スポンジブラシ、舌ブラシ)
・入れ歯の清掃
・うがい(デンタルリンス、洗口液など)
★歯磨きのポイント
・力のかけすぎに注意しましょう。
歯ブラシが歯ぐきに触れても痛くない程度が目安です。磨く力が強いと、歯ぐきを傷つけ痛みや、歯ぐきが下がる原因になります。
・歯ブラシを当てる角度を意識しましょう。
歯に当てる角度は90度が基本です。よごれを落としたい部分は小刻みに10~20回歯ブラシをうごかしましょう。
・歯のよごれの溜まりやすい場所は念入りに。
歯垢は歯と歯の隙間や、歯と歯ぐきの境目に付きやすいものです。歯周病やむし歯を予防する為には注して磨きましょう。ただし、汚れがひどいからと力任せに磨いてはいけません。力ではなく、「磨く回数を増やす」が大切です。
・磨きにくいところは歯ブラシの当て方や、歯ブラシの大きさを工夫してみましょう。
歯ブラシを縦に使ったり、角度を変えて磨きます。狭いところは小児用の歯ブラシを使うと磨きやすいです。
・歯と歯に隙間がある方は歯間ブラシや糸ようじを活用しましょう。
歯と歯に隙間があると汚れが溜まりやすく、むし歯になりやすい部分となります。歯間ブラシにはSSS~Mサイズまであるので、細いものからお試しして、自分に合うものを選びましょう。
★うがいのポイント
・『うがい』には2種類あります。口を開けてのどを動かす『ガラガラうがい』と、口を閉じて頬を動かす『ブクブクうがい』です。口腔ケアでは『ブクブクうがい』を行ないます。
お口の汚れと取り除き、口腔内の保湿にも効果的です。お口がうまく閉じれない人、頬をうまく動かせない人はむせたりする原因になるので注意しましょう。
うがい液は通常は水道水で大丈夫です。
市販のうがい液(デンタルリンスや洗口液)を使うもの口臭や歯周病予防に効果的です。また、口腔内乾燥予防のためにジェル等の保湿剤を併用するのもよいでしょう。
最後に口腔ケアは誤嚥性肺炎予防、心臓病予防、糖尿病の予防、認知症の予防等様々な効果が期待されています。健康で若々しい生活を過ごせるようにしっかりケアをしていきましょう。
口腔ケア学会認定看護師 板垣 薫