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(コラム)知っておきたい肺がん検診の話

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(コラム)知っておきたい肺がん検診の話

日本における肺癌の現状
肺癌は日本人の癌による死亡原因として男性の1位、女性の2位であり、年間約75,000人が亡くなっています。人口10万人あたりの死亡率は年々増加傾向で、今後10年は同程度の死亡者数が見込まれています。肺癌の発生原因としては喫煙が最大で、喫煙者の肺癌発症リスクは約3~4倍上昇します。肺癌の発症初期は無症状のことがほとんどで、肺癌による症状(痛み、息切れなど)が出現した場合には進行していることが多く、症状出現前に早期発見し治療を行うことが重要です。

日本の肺がん検診について
日本では40歳以上に胸部レントゲン、50歳以上の喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上の重喫煙者に喀痰細胞診を併用した肺がん検診を年1回行うことが推奨され、対策型がん検診として公共政策で行われています。これらの検査は過去に日本で行われた研究で約30%の肺癌死亡率減少効果が示されています。

その他の検査について
人間ドックなどの任意型がん検診では胸部CT、PET検査、腫瘍マーカー検査なども行われることがあります。近年欧米から報告された複数の研究で、重喫煙者に対する低線量胸部CTによる検診で肺癌死亡率減少効果が明らかになりました。今後日本でも公共政策として肺がん検診に導入される可能性があります。重喫煙者以外へのCTで肺癌死亡率減少効果を示す研究結果は現時点では存在しませんが、現在日本で大規模な試験(JECS Study)が進行中です。
PET検査や腫瘍マーカー検査は肺癌がすでに見つかっている方や疑われている方にとってはとても重要な検査ですが、肺がん検診としての有効性(=その検査を受けることで肺癌の死亡率が減少すること)は明らかになっていません。現行の肺がん検診に追加して検査することで肺腫瘍(悪性・良性含む)の発見数は多くなると思われますが、偽陽性(実際には癌がないのに癌の疑いありと判定)や過剰診断(治療をしなくても命を脅かさない癌を発見)なども起こる可能性があります。事前にそれぞれの検査の利益・不利益を確認することが重要です。

最後に
肺癌早期発見のために肺がん検診を適切な年齢および適切な間隔で受診しましょう。血痰など症状がある場合には検診を待たずに医療機関を受診しましょう。

                      呼吸器外科 三友 英紀

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