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当院が提供する質の高い医療

急性胆管炎に対する内視鏡治療

急性胆管炎は、胆汁(たんじゅう)のうっ滞(たい)により胆管内腔の胆汁および胆管壁に炎症(えんしょう)をきたす感染症です。

原因となる病気は、胆管結石が最も多く、悪性腫瘍(膵がん、胆管がん、胆のうがんなど)で発症することもあります。診断は発熱、黄疸(おうだん)、腹痛などの症状と、血液検査と画像診断で行われます。

画像診断には、腹部エコー検査、CT、MRI)あり、胆管の閉塞(へいそく)や拡張を判断します。原因となる起因(きいん)菌は、腸内細菌叢(さいきんそう)である大腸菌やクレブシエラ、腸球菌(ちょうきゅうきん)などです。うっ滞(たい)した胆汁の流れを改善する治療を胆道ドレナージ術と呼びます。

胆道ドレナージ術には主に内視鏡的アプローチと経皮(けいひ)的アプローチ(皮膚と肝臓を介して行う方法)がありますが、現在は前者の内視鏡治療が主に行われています。また、胆道ドレナージ術には、胆管内にステント(チューブ)を留置する場合(EBS)と経鼻(けいび)的に胆管内にチューブを留置する場合(ENBD)があります。

EBS, ENBD共に利点、欠点があり、胆管炎の重症度や胆汁の性状、患者さんの状態に応じて使い分けます。EBSは胆汁の流れが生理(せいり)的ですが、ステント閉塞(へいそく)をきたす場合があります。ENBDは鼻からチューブが出ているため、鼻の違和感やチューブ管理の煩(わずら)わしさがありますが、胆汁の性状を肉眼的に確認でき、胆管内を洗浄することも可能です。


  • 急性胆管炎の内視鏡像:
    十二指腸乳頭部から膿汁(矢印)が排出されている。

  • 胆管ステント留置術(EBS)のレントゲン像

  • 胆管がんのレントゲン像:
    経鼻的胆管ドレナージ術(ENBD)を施行した。

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胆管結石に対する内視鏡治療

肝臓で作られる胆汁(たんじゅう)は,胆管(たんかん)を通って十二指腸乳頭部(にゅうとうぶ)から流れ出て,食べ物の消化を行います。内視鏡を使って十二指腸乳頭部からさまざまな検査や治療を行う方法を、内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)といいます。ERCPでは,胆管結石の有無を診断し,引き続いて結石を除去する治療を行うことができます。

方法と手順

1. 麻酔(ますい):のどのスプレー麻酔,苦痛を和らげる注射の鎮静剤(ちんせいざい)などの麻酔を行います。
2. 胆管造影:内視鏡を口から挿入します。乳頭部から胆管に細い管を挿入し,レントゲンに写る造影剤(ぞうえいざい)を注入して結石を確認します。
3. 乳頭を電気メスで切開もしくはバルーン(風船)で拡張します。バスケット鉗子で結石をつかんだり,バルーン鉗子で結石をかきだしたりして結石を除去します。結石が大きい場合には破砕(はさい)用バスケット鉗子で結石を砕くこともあります。また治療困難例では、胆道鏡(たんどうきょう)という内視鏡を胆管に挿入して、電気水圧結石破砕術(EHL)併用して治療することもあります。


  • 胆管結石のレントゲン像:胆管内に多数の結石(矢印)を認めます。

  • 胆管結石の内視鏡像:バルーン鉗子で結石をかきだして除去しています。

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術後再建腸管に対するERCPを用いた内視鏡治療

胃や食道,胆管,膵臓などの手術によって、下図のように腸管(ちょうかん)の再建(さいけん)を行っている場合には、ERCPによる内視鏡治療を行うためには、通常の内視鏡より長い小腸内視鏡(バルーン内視鏡)を用います。乳頭部(にゅうとうぶ)までの内視鏡挿入には、通常のERCPに比較して時間を要します。

乳頭部まで挿入後は、通常のERCPと同様の手順で行いますが、治療の難易度が高いために検査時間は全体で60-90分程度(時に120分を超えることもあります)となります。


  • 術後再建腸管の胆管結石のレントゲン像:胆管内に結石(矢頭)を認め、乳頭部をバルーン(矢印)で拡張しました。

  • 胆管結石の内視鏡像:バルーン鉗子で結石をかきだして除去しました。

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胆道狭窄に対する胆道ステント留置術

閉塞(へいそく)性黄疸とは胆管閉塞による胆汁のうっ滞(たい)により黄疸(おうだん)を発症する疾患群です。

原因には良性(慢性膵炎による胆管狭窄(きょうさく)、IgG4関連硬化性(こうかせい)胆管炎、原発性硬化性(こうかせい)胆管炎など)や悪性(胆道がん、膵頭部がんなど)の疾患があります。

黄疸を改善するために、閉塞した胆管にプラスティックまたは金属のステント(チューブ)を留置します。留置する方法は、ERCPを用いて乳頭部(にゅうとうぶ)から挿入する方法が一般的です。

この方法が困難な時には、経皮的に(皮膚の表面から)穿刺する方法(PTCS)や超音波内視鏡をガイドに胆管を穿刺(せんし)してステントを留置する方法もあります(EUS-BD)。

ケース1
  • 膵がんによる胆管狭窄のレントゲン像:胆管の狭窄(矢印)がみられます。
  • 狭窄部に金属ステント(矢印)を留置しました。
  • 内視鏡像:留置した金属ステントが観察されます。
  • レントゲン像:数日後金属ステントは展開し、黄疸は改善いたしました。
ケース2
  • 膵がんによる閉塞性黄疸の超音波内視鏡像:拡張した胆管を穿刺針で穿刺(矢印)しました。
  • レントゲン像:穿刺したルートを拡張して金属ステントを留置しました。
  • 内視鏡像:十二指腸内に留置した金属ステントが観察されます。

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十二指腸乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭部切除術

乳頭部に発生した腫瘍(腺腫(せんしゅ)、一部の早期がん)に対して内視鏡的乳頭部切除術を行っています。乳頭部に限局した腫瘍が適応で、胃や大腸のポリープ切除と同様な手法で腫瘍を切除する方法です。従来の外科的治療に比較して侵襲(しんしゅう)性(負担)が少ない一方で、ある一定リスク(出血、穿孔(せんこう)、膵炎(すいえん)など)があります。


  • 内視鏡像:早期乳頭部がんに対して内視鏡的乳頭部切除術を行いました。

  • 内視鏡像:術後1年後再発の所見はみられませんでした。

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膵嚢胞および膵管内乳頭粘液性腫瘍

膵嚢胞は膵臓(すいぞう)の中にできた袋状の構造物で、腫瘍性のものと膵炎後の炎症(えんしょう)性のものなどが挙げられます。前者の場合、多くは膵管内乳頭粘液性腫瘍(すいかんないにゅうとうねんえきせいしゅよう)(IPMN)と呼ばれる疾患を疑います。
この疾患の大部分は良性でありますが(主膵管型という特殊な場合を除く)、

①稀(まれ)ですが悪性化することがあること、
②この疾患とは別の場所に膵臓がんを合併することがあることの2点が問題となっています。

近年、画像検査の進歩とともに、健診などで偶然に膵嚢胞を指摘され、当院へ紹介される方が増えております。膵臓がんが本邦でも増加傾向であること、発見が難しい難治がんの代表であることなどから、当科では膵臓がんの早期診断の取り組みの一つとして、このような膵嚢胞をもつ方を膵臓がんの危険群と考え、定期的な膵の精密検査を行っており、現在600人以上の膵嚢胞の患者さんが当院で定期検査を行っております。

超音波内視鏡検査(EUS)は膵臓の精密検査の中で最も診断精度が高く、当科では膵嚢胞を患者さんに定期的に実施を勧めています。上記の2点が疑われる場合には、入院精査の上速やかに膵臓専門の外科医と連携して治療方針を決めております。


  • 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)のMRI像

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粘膜下層切開剥離術(ESD)

1980年代からEMR (内視鏡的粘膜切除術)による早期癌の治療が普及しました。EMRは切除可能な面積が小さい点が難点でした。ESD (内視鏡的粘膜下層切開剥離術)は広範囲の病変であっても一括で内視鏡切除できる優れた治療法です。1998年にESDの最初の報告がされ、2000年代からに普及し始めました。当院では2003年から開始し、現在年間300件前後のESDを施行しています。
ESDの対象は、早期の消化管癌(食道癌、胃癌、十二指腸癌、大腸癌)で、リンパ節転移を生じる可能性が低い病変です。条件を満たした早期癌であれば、ESDによって臓器を温存しつつ、病変を一括で完全に切除できるようになりました。

ESDに伴う主な偶発症は、治療時の穿孔、治療後の後出血、治療後の瘢痕狭窄による消化管の通過障害、誤嚥性肺炎などです。対象とする病変の部位や範囲によって、偶発症のリスクや治療に要する時間は異なります。
ESDで切除し回収した病変は病理組織検査 (顕微鏡による詳細な評価)を行います。病理組織検査の結果、転移を生じる可能性が高いと見込まれる場合は、追加で外科手術や放射線化学療法をお勧めすることもあります。
ESDの詳細については、治療を予定する前に詳しくご説明します。疑問や不安などございましたら、お気兼ねなく担当医へお尋ねください。

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胃ポリペクトミー

胃ポリープは大きく分けると腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられます。 非腫瘍性ポリープは胃底腺ポリープや過形成性ポリープなどがあります。癌化は稀であり、通常は経過観察しますが、大きくなると出血や通過障害の原因となることがあり、この場合は内視鏡的切除(ポリペクトミー)の対象となります。 ポリペクトミーとは、内視鏡を体内に入れ、スネアと呼ばれる器具でポリープの根元をつかみ、高周波電流で焼き切る方法です。

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拡張術

内視鏡治療後瘢痕に伴う狭窄、外科的切除後に伴う狭窄または様々な原因により通過障害が起こった場合に治療対象となります。狭窄部位の拡張を行うためには内視鏡を使用して行います。内視鏡から様々な器具を入れることで拡張を行いますが、主に先端に風船(バルーン)のついたバルーンダイレーターを使って拡張します。拡張術を行うことで、改善する可能性が十分考えられますが、狭窄の程度によっては、繰り返し拡張術が必要になる場合があります。

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食道静脈瘤

多くは肝硬変が原因となり、門脈という肝臓へ流入する血管の圧が高くなり、食道粘膜下にある静脈が風船のように膨らんでしまう病気です。静脈瘤自体は無症状ですが、肝硬変が進行し、静脈瘤が大きくなると、破裂して出血を起こすことがあります。破裂して吐血や下血がみられた場合には緊急で内視鏡的止血術を行います。破裂していない場合でも内視鏡で破裂の徴候がみられた場合、予防的に静脈瘤に対する内視鏡治療を行います。以下に代表的な静脈瘤に対する内視鏡治療法を紹介します。

内視鏡的静脈瘤結紮術(Endoscopic variceal ligation; EVL)

内視鏡の先端に装着した医療用ゴムバンド(Oリング)を静脈瘤の根本にかけ、血流を遮断する治療方法です。血流がなくなった静脈瘤は壊死・脱落し、消失します。比較的簡便な手技であり、出血時の緊急止血方法や予防的治療として多く使用されます。体への負担が少ない治療であるため、肝機能が弱ってしまっている患者さんにも施行可能な治療です。

内視鏡的静脈瘤硬化療法(Endoscopic injection sclerotherapy; EIS)

内視鏡の先端から出す局注針と呼ばれる注射針で静脈瘤を穿刺します。レントゲンで確認しながら静脈瘤内へ硬化剤を注入し、血管内を固めてしまう治療です。大きな静脈瘤や治療・再発を繰り返し固くなった静脈瘤には上述のゴムバンドを掛けることができず、こちらの治療法を選択することがあります。逆に、EVLよりも体への負担が大きいため、肝機能が低下した患者さんへは施行が難しい場合があります。

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大腸ポリープ切除術(大腸ポリペクトミー / 内視鏡的粘膜切除術)

大腸ポリープは、ほとんどが腺腫と呼ばれる良性のポリープです。しかしポリープが増大するにつれ良性のポリープが癌化していく可能性があります。小さな病変の担癌率は5mm以下の病変で0.3%前後、6~9mmの病変で3%前後と報告されています。そのため腫瘍の大きさが5mmを超えてきた病変については切除することが推奨されています。大腸ポリープはスネアと呼ばれる円形のワイヤーを使って切除しますが、切除方法には(1)大腸ポリペクトミー(図1)と(2)内視鏡的粘膜切除術(EMR)(図2)があります。(1)大腸ポリペクトミーは茎を有する病変や隆起が高い病変などが適応となります。病変の基部をスネアで絞扼し電気を流しながら切除します。(2)内視鏡的粘膜切除術は扁平な病変や比較的大きめな病変が適応となります。病変の下に液体を局注し人工的に隆起を形成した後にスネアで電気を流しながら切除します。また非常に小さな病変では電気を流さず、そのまま切除することもあります。

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内視鏡的異物除去術

不慮の事態により消化管内へ存在するPTP(薬剤シート)、義歯、歯科医療器具、電池、腸管アニサキスなどを内視鏡を用い消化管壁を傷つけないように回収します。


  • 食道内に認めたPTP(薬剤シート)

  • 特殊先端透明広径キャップを用い食道壁を傷つけないよう鉗子で回収

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内視鏡的止血術

消化管は上部と下部に分けられており食道・胃・十二指腸からの出血を上部消化管出血、小腸のトライツ靭帯より下の出血を下部消化管出血と定義しています。頻度の多いものには胃潰瘍や十二指腸潰瘍、腫瘍、炎症などがあり出血源を見つけ次第止血を行います。止血方法は薬剤局注法、熱凝固法、機械的止血法、薬剤散布法などがあり適宜使い分けて行います。最も多い消化管出血の原因は胃・十二指腸潰瘍であり当院の止血率はほぼ100%と高い止血率です。

  • 胃食道接合部の裂傷からの出血
  • クリップ止血
  • 十二指腸潰瘍
  • 局注法による止血

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内視鏡的胃瘻造設術(PEG)

内視鏡的胃瘻造設術は、経口摂取困難な患者様に対し、内視鏡を使用し経皮的(腹部の表面から)に胃まで栄養チューブを留置する方法です。当院では年間約100件前後の造設を行ってきましたが、近年、胃瘻造設に対する適応が問題視され減少傾向です。胃瘻造設をご希望の患者様には、適応、偶発症などについてよく相談させていただいたうえで、可能な限り対応させていただいております。なお、当院では胃切除後の患者様には食道から栄養チューブを留置する経皮経食道胃管留置術(PTEG)という方法も行っています。PTEGに関しては、造設後に受け入れ可能な施設が限られる現状がありますので、施設入所予定の患者様は、その点もご確認下さい。

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先進医療としての大腸ESD

検診の普及や内視鏡機器の進歩により、外科手術をせずに内視鏡で根治可能な早期癌が数多く発見されています。このような早期癌が増えるに従い、内視鏡治療も進歩しました。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD: Endoscopic Submucosal dissection)は、現在、消化管の早期癌に対する内視鏡治療として爆発的に普及しています。ESDは内視鏡内を通して使用できる特殊なナイフ(フックナイフ、ITナイフなど)を用いて、癌組織を粘膜下層から剥離する方法です。従来の内視鏡的粘膜切除(EMR: Endoscopic Mucosal Resection)より大きな癌をEn-bloc(一括)で切除することができます。

大規模な外科手術症例の検討から、胃や大腸の粘膜内癌は、ほとんどリンパ節転移を起こさないことが示されました。このような病変は、理論上、内視鏡による局所切除で根治可能です。ところがEMRで一括切除できる限界は約2cmで、これを超える病変は外科切除や分割切除が必要ですが、過侵襲や術後QOL低下、遺残再発などが問題でした。ESDはこれらの点を解決する画期的な治療法で、瞬く間に普及し、2006年に早期胃癌が、2008年に表在食道癌に対するESDが保険適応となりました。

早期大腸癌にも保険適応になると期待されていましが、大腸ESDは、腸管壁が薄いなどの解剖学的理由や手技的に非常に高度な技術が要求されることから、厚労省はこの手技を先進医療と定めました。先進医療は、有効性や安全性を確保する観点から一定の基準を満たした医療機関を厚労省が認可し、患者さんの経済的負担を軽減する目的で、いわゆる混合診療が認められます。

この度、当院で実践している大腸ESDの治療成績が評価され、2010年9月1日に県内第一号として大腸ESDを先進医療として行なうことが認可されました。

大腸ESDの適応

ESDで根治が期待できる早期大腸癌または腺腫で、

  • EMRでは一括切除が困難な2cm以上の病変
  • EMR施行時に病変の挙上が不良な病変
  • EMR施行後の1cm以上の遺残病変もしくは局所再発病変

となっています。

大腸ESDの実際

  • 拡大内視鏡や超音波内視鏡で病変を詳細に観察し診断します。
  • 病変部の粘膜下層に専用の液体を注入し病変を挙上させます。
  • 病変周囲の正常粘膜を粘膜下層まで切開します。
  • 病変部の粘膜下層に潜り込み、高周波ナイフで剥離します。

検査・治療の流れ

患者さんに紹介状を持参のうえ、消化器内科外来を受診していただきます。精密な術前検査を行うことが厚労省の技術概要で義務付けられているので、外来で精密検査(拡大内視鏡や超音波内視鏡検査)を行い、治療の適否を判定します。

ESDの適応と判断したら、入院予約をとらせていただきます。

入院期間は約1週間程度です。当院で試算した大腸ESDの手技料は約150,000円で、その他の入院費用や食事代等は健康保険の適応となります。

ESDでの切除はどうだろうかと思われる病変を認めたら、気軽にご相談(ご紹介)いただければ幸いです。

 

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カプセル内視鏡検査のご案内

カプセル内視鏡とは?

カプセル内視鏡

これまでの内視鏡検査は口あるいは肛門から直径 1cm 前後の長い管を挿入して食道や胃、大腸などの精密検査や治療を行うものでした。しかし、長さが約 7m にもおよぶ小腸は「暗黒大陸」と呼ばれ、これまで内視鏡による検査を十分に行うことができませんでした。さまざまな試みがなされてきましたが、 2000 年以降にバルーン内視鏡とカプセル内視鏡という、新しいタイプの内視鏡が開発され、小腸に関する精密検査も行えるようになってきました。カプセル内視鏡は文字通り、カプセルの形をしたチューブのない内視鏡です。外径 11mm 、長さ 26mm とやや大きめではありますが、お薬のように飲み込むだけでよいため患者さんの負担も少なく、現在では主に小腸の病気が疑われる場合の検査として使用されています。当センターではオリンパス社製 Endo Capsule を導入し、小腸疾患の診療を行っています。

カプセル内視鏡の適応

カプセル内視鏡は飲み込むだけの比較的簡便な検査ですが、今のところ従来の上部(胃・十二指腸)内視鏡や大腸内視鏡の代わりになるものではありません。現時点では消化管出血に対して上部、下部内視鏡を行っても原因が不明であった場合に、カプセル内視鏡による検査が保険適応となります。なお、異常が見つかり治療などが必要となった場合には、バルーン内視鏡などによる処置を後日行うことになります。

カプセル内視鏡の対象とならない方

  • 小腸の狭窄が事前に他の検査で明らかになっている方(クローン病など)
  • ペースメーカーを装着している方
  • 妊娠中の方(安全性がまだ確認されていないため)

カプセル内視鏡検査の予約方法

かかりつけの医療機関からの紹介状を持参のうえ、一度当院消化器内科外来を受診していただきます。診察の後、カプセル内視鏡の検査日を決定します。

検査の実際

カプセル内視鏡検査は外来で行います。

検査前日 夕食後は絶食としてください。
お水、あるいは透明な清涼飲料水は摂取可です。
検査当日

午前8時30分頃に来院していただきます(普段のお薬は内服してください)。

来院後、問診を行い

  • 体温、脈拍、血圧を測定します。
  • 消泡剤と下剤を飲みす。
  • 検査機器を装着します。
  • カプセル内視鏡を飲みます。
1時間後
カプセルが胃を通過したかどうかを医師がモニターで確認します。 通過していない場合にはお薬を注射したり、内視鏡でカプセルを十二指腸に送り込むことがあります。
その後は自由に行動していただいて結構です。
2時間後
水分の摂取が可能です。
4時間後
食事の摂取が可能です。
約8時間後
センサーを取り外し、検査終了です。
検査後日 外来を受診していただきます。当日レントゲン写真を撮影してカプセルの排出を確認するとともに、検査結果の説明を行います。

検査に伴う偶発症

小腸の狭窄などにより、カプセル内視鏡が排出されず、長期間体内にとどまったままになる場合があります(滞留)。 2週間以上排出されない場合は下剤などの処置を施しますが、無効であればバルーン内視鏡あるいは手術による摘出を必要とすることがありえます

カプセル内視鏡検査に要する費用について

健康保険の適応となる検査ですが、3割負担の方で3万円弱が必要です。

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当院における末梢肺病変経気管支的診断法の現況について

はじめに

肺癌の治療成績を向上させるためには、病変が小さいうちに治療することが必要です。 CT検査の精度向上に伴い、小さな末梢肺病変が発見される機会が増えておりますが、 小さすぎて透視下に識別できない場合は気管支鏡による検体採取は困難です。 将来根治手術を考えるのであればCTガイド下生検は避けるべきであり、 強く悪性を疑うことができれば胸腔鏡的肺生検を選択しますが、結局はCTによる経過観察を余儀なくされることもしばしばです。 小さい病変に気管支鏡を確実に到達させることは、現在の呼吸器疾患診断学における大きな課題の一つです。 2007年に発表されたAmerican College of Chest Physicians肺癌診断治療ガイドライン(第2版)によれば経気管支的検査法は直径が 2cm以下の末梢肺病変では正診率は34%であると記されており、 その精度を上げるために更なる研究が望まれています。

この課題解決に向けて、現在まで、国内外で3つの新しい技術が開発されました。 イスラエルのSuperDimensionは磁気センシング技術を使って処置具を挿入するためのシースを病変まで到達させる技術を開発し、 既に医療機器として欧米で販売され診療に使われています。 この装置は、まだ日本には上陸しておりませんが、侵襲性が問題と考えます。 国内では、2007年8月にオリンパスからガイドシース・気管支腔内超音波プローブシステムが発売されました。 ガイドシースは一旦病変部へ留置されると、サンプリングを容易に繰り返すことが可能になりますので大変有用です。 そして、2008年8月には同じくオリンパスから仮想内視鏡自動作成ソフト(Bf-NAVI)が発売され、 仮想気管支鏡サムネイル式ナビゲーション法が臨床応用可能になりました。 このような世界の開発状況にあって、当院でも2001年から末梢肺病変へのアプローチ法の研究に着手し、 SuperDimensionやオリンパスとは異なる独自の方法を開発してきました。 以下にその紹介をさせて頂きます。詳細につきましては2008年9月に発表されたこちらの論文もご参照下さい。

ナビゲーション法

極細径気管支鏡の挿入やガイドシース挿入のナビゲーション法としては、仮想気管支鏡動画で気管支ルートを「前分岐相対方位法」で命名する方法を開発しました。この方法では観察視野が粘膜密着や粘液等で失われない限りどのような予期せぬ回転があっても正確に分岐選択が可能です。

極細穿刺針型サンプリング器具 CYTROKE-H

直径2.8mmの極細径気管支鏡を使うようになって直面した課題は、鉗子が小さすぎて充分な量の検体が採取できないということでした。この課題を解決するために歯科のH-FILE(らせんの切り込みが入った直径0.4mmのヤスリ)を応用した穿刺型細胞診器具「CYTROKE-H」を開発しました(日本国特許取得済み 第4338712号)。この器具はまだ市販されていませんが、大変有用な器具と考えられますので、今後共、改良と臨床的検討を進め、商品化を目指したいと考えています。

現在の気管支鏡検査について

論文には極細径気管支鏡を使ったサンプリングが記述されていますが、CYTROKE-Hはまだ市販されていませんので、 残念ながら、直径2.8mmの極細径気管支鏡は有効に活用されない状況が続いています。

現在、当院での標準検査法は、ガイドシースと気管支腔内超音波プローブを併用した鉗子・ブラシによるサンプリングとなっています。 「前分岐相対方位気管支ルート命名法」はガイドシースを挿入する際に、ガイドシース挿入気管支分岐の選択に役立っています。

おわりに

マルチスライスCTの進歩で気管支ルートは内径1〜1.5mm程度まで解析が可能になりました。 その情報を有効に活用するためには気管支鏡側の更なる進歩が必要です。 直径2.8mmの極細径気管支鏡より細いものとしては、現在、外径1.9mmの超極細径気管支鏡(町田製作所製)がありますが、 そのワーキングチャンネル(0.5mm)用の処置具はありません。 論文の考察にも記しましたが、末梢肺病変の経気管支的ピンポイントサンプリングを実現するには、まだ以下のような課題が残されています。

  • 仮想内視鏡が末梢ではクリアな映像として作成できない。
    CTデータの部分体積効果問題の解決が必要。
  • スリガラス病変の位置は通常のレントゲン透視では確認ができない。
    CTガイドやCT透視に代わる新しい技術開発が必要。
  • 病変が気管支粘膜表面に出ていない状況ではサンプリングは困難。
    鉗子・ブラシとは別のメカニズムのサンプリング器具が必要。

これらの課題解決に向けてこれからも挑戦して行きたいと考えています。 3の課題については、CYTROKE-Hは大変有望な処置具と考えています。

呼吸器内科主任部長 飯島秀弥
呼吸器内科部長 進藤百合子
内科医長(総合診療科・呼吸器内科) 須田祐司

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