HOME > 診療科のご案内 > 消化器外科・一般外科

消化器外科・一般外科

当科では、胃がん大腸がん肝・胆道・膵がんなどの消化器悪性疾患のみならず、胆嚢結石症急性虫垂炎ヘルニア、胃・十二指腸潰瘍穿孔などの良性疾患や救急疾患も扱っており(表1参照)、2021年度はスタッフ・レジデント(後期研修医)あわせて13名体制で、日々互いに切磋琢磨しながら診療しています。

過去3年は年間約1,200例の手術を行っており、労をいとわない麻酔科や手術室スタッフの協力のもと、東北でも有数の症例数となっています(表2参照)。また、手術症例の20%超は緊急・臨時手術です。外科専用の手術室を4室揃え、24時間・365日体制で対応しています。うち2室は腹腔鏡手術用の装置が天吊り式で装備され、さらに移動式設備の導入により全室で腹腔鏡手術が可能となっており、より低侵襲の手術を目指しています。

当科では手術のみならず、術前・術後化学療法およびがん支持療法を含む緩和ケア並びにターミナルケアも行っており、進行・再発例では化学療法科(東北大腫瘍内科)とも協同して治療に当たっています。また、栄養サポート(NST)、緩和ケアや感染対策(ICT)等のチーム医療、さらにWOC・緩和ケア・がん疼痛管理・化学療法などの認定看護師、理学・作業・嚥下などの療養士によるリハビリにより、年齢や合併症に関わらず周術期管理を行い、患者さんにとってよりやさしい医療を目指しております。

表1:主な対象疾患
胃がん 大腸がん GIST 十二指腸・小腸腫瘍 胃・十二指腸潰瘍穿孔
胃瘻・腸瘻造設 肝がん
(原発性・転移性)
胆嚢・胆管がん 膵がん
及び腫瘍(粘液産生膵腫瘍など)
胆嚢結石症・胆嚢腺筋症
先天性胆道拡張症 胆管・肝内結石症 急性虫垂炎 腸閉塞 腹膜炎など
ヘルニア
(鼡径・大腿・腹壁等)
皮下腫瘤
(アテローマ・脂肪腫等)
リンパ節生検など
※乳がんは乳腺外科参照
うち腹腔鏡下手術:胆嚢、胃(GIST含む)、大腸、虫垂、潰瘍穿孔、鼡径ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニア、良性膵疾患、直腸脱など
表2:手術件数(過去6年) 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
胃切除 125(56) 104(44) 93(37) 91(52) 107(59) 114(61)
結腸切除 180(87) 181(78) 173(114) 179(131) 161(120) 165(107)
直腸切除 90(39) 77(44) 94(76) 82(64) 87(75) 81(75)
肝切除 38 23 41(2) 32(6) 38(4) 40(10)
膵切除 44(3) 54(1) 58(1) 50(2) 63(3) 61(2)
小腸切除 39(3) 35(3) 35(2) 29(5) 28(4) 24(4)
虫垂切除 103(102) 112(109) 85(80) 109(109) 95(5) 97(95)
胆嚢摘出 321(289) 283(267) 321(312) 323(315) 283(272) 276(270)
ヘルニア 145(29) 120(44) 95(42) 148(74) 112(57) 112(53)
全手術件数 (全麻件数) 1313(641) 1237(625) 1189(683) 1251(799) 1192(712) 1154

( ):腹腔鏡下手術

ページの先頭へ戻る

胃がん

当科では、手術が必要となった比較的早期の胃がんには、5-6個の小さい創で行う腹腔鏡下手術を導入しており、約半数の胃がん症例で行っています。切除後の再建でも、切開創を延長することなく体腔内で行う方法を標準としています。

腹腔鏡下手術のメリットとして拡大視効果による精細な視覚情報がありますが、反面ポート位置や鉗子による動作制限などのデメリットが発生します。動作制限は手技の定型化によりかなり克服されていますが、上腹部の開腹手術既往がある方や、進行度によっては開腹手術を選択します。

また、術前に鏡視下手術のメリットとデメリットを説明させていただいた上で、患者さんの希望により開腹手術を行うことも可能です。最終的な方針は、当科全員参加による術前カンファランス(POC)にて決定されます。

高度進行胃がんに対しては、R0(がん遺残なし)の根治切除を目指し、術前(導入)化学療法と手術による集学的治療を積極的に行っており、R0症例では良好な治療成績を得ています。対象は、予後不良で根治には化学療法を必要となる、スキルス・高度リンパ節転移・周囲臓器浸潤症例、あるいは遠隔転移を伴う非治癒因子を持つ胃がんとしています。

難治例では、手術先行治療によって生じる栄養状態・体力低下により術後の化学療法が困難な場合も多く、治療成績が上がらないという背景があります。但し、専門施設では一般的に行われていますが、胃がん治療ガイドラインでは確立したものではないため、メリットとデメリットを十分に説明した後に選択していただいております。

ページの先頭へ戻る

大腸がん

大腸がんは年々増加傾向にあり、日本では女性のがん死亡率の一位を占めております。大腸がんに対する治療は、粘膜内にとどまるごく早期の状態であれば内視鏡下切除の適応ですが、それより深部への浸潤が疑われる場合はリンパ節郭清を伴った手術治療が標準治療となります。

当院では間約220-240件の大腸がん手術を行っておりますが、そのうち半数の約180件は腹腔鏡下手術です。傷が小さく整容性に優れており、痛みが少なく術後の回復が早いなど、様々なメリットがあると証明されています。がんに対する手術としても、拡大して腹腔内を観察できるため解剖の把握がより詳細にでき、確実なリンパ節郭清や神経温存が可能で、開腹手術と比較して治療成績に遜色がないとの報告がなされてきています。

当科では腹腔鏡手術黎明期より大腸がんに対して腹腔鏡手術を導入してきましたが、日本内視鏡外科学会における腹腔鏡手術の技術認定医が3名常勤しており、専門的な手術を安全に施行できる体制が整っております。

手術治療の最大の目的はがんを確実に治すことであり、小さな傷で手術することが目的ではありません。そのため、他臓器へ浸潤が疑われるなど高度進行がんや、手術既往があり腹腔内に高度の癒着が予想される方など腹腔鏡手術では安全に施行できない可能性が高いと判断される場合は、開腹手術で安全・確実に施行しております。

腸閉塞をきたすまで進行したがんに対しては、消化管・肝胆膵内科で内視鏡にて狭窄を解除する金属ステントを挿入し、待期的に手術を行うことにより、人工肛門を回避し合併症を軽減することも行っております。

※大腸がん・肝転移については、肝がん参照。

ページの先頭へ戻る

胆嚢結石症

当科で最も入院数の多い胆嚢結石症については、待機的に治療される場合は必要な検査をすべて外来で行い、手術前日入院→腹腔鏡下手術→術後3日程度で退院とする4-5泊程度での入院治療としています(炎症が高度な場合や他疾患を合併している方は入院期間が延長する場合があります)。

当科の特徴として、急な腹痛で発症した急性胆嚢炎に対しても、症状に応じて緊急の腹腔鏡手術を含めた対応をしています。重症例や上腹部手術既往例などを除き、殆どの症例を腹腔鏡手術で行いますが、癒着により胆管や周囲臓器損傷が危惧される症例では開腹移行するなど、安全性を重視して慎重に判断しています。また、救急や他施設からの紹介で胆管結石が疑われる場合、まず消化管・肝胆膵内科で胆道精査(ERCP, MRCP, EUS等)を行い、内視鏡下に胆管結石除去後に、腹腔鏡下胆摘を行う症例も多く、緊密な連携をとって対応しています。

ページの先頭へ戻る

肝胆膵がん

難治がんと言われる肝胆膵悪性腫瘍に対しても、消化管・肝胆膵内科での緻密な術前評価の上で積極的な切除を心がけています。

肝がんには、慢性肝炎などの肝障害を背景に発生する原発性肝がんと、消化器腫瘍の転移による転移性肝がんが含まれますが、肝機能が悪くない場合は切除による根治を目指します。かつて消化器のがんは他臓器への転移を来した場合は治らないと考えられていましたが、特に大腸がんにおいては転移再発を来した場合でも、切除により根治が得られるようになってきました。転移巣の大きさや転移した肝臓の場所や個数によってはいまだ手術が難しいことも多いのですが、術式を工夫してできるだけ切除による根治を目指します。しかし、切除だけでは不十分なことも多い疾患であることから、最近進歩のめざましい化学療法(抗がん剤)を組み合わせて最大の効果が得られるような集学的治療を行っています。

胆道がんには、胆管がん、十二指腸乳頭部(胆汁が十二指腸に流れ込む部位)がん、胆嚢がんなどが含まれます。いずれも肝臓、膵臓といった解剖学的に複雑な構造である領域に発生するがんのため、部位によっては肝臓の6割以上や膵臓を切除する必要が生じ、複雑かつ長時間の手術が必要となります。当院消化管・肝胆膵内科には、これら胆道疾患の診断、内視鏡的治療のスペシャリストが多数おり、それを受けて当科でも胆道がん全体で500例を超える多数の切除経験を有しています。確実な手術手技が最も重要であることは論を待たないのですが、術後には作り直した消化管の変化に応じた生理学的、栄養学的な管理を含めた知識、手技が求められます。

膵がんは難治がんの代表とされますが、遠隔転移や周辺の動脈への浸潤を認めない場合には根治を目指して切除を行っています。膵臓の十二指腸側を切除する術式を膵頭十二指腸切除と言い、消化器高難度手術の代表とされますが、当院では過去10年間に300件を超える(胆道がんを含む)経験があります。本疾患も切除だけでは治癒の難しい疾患であり、近年ではその有効性が証明された術前化学療法を積極的に取り入れ、治療成績を上げる努力を続けています。また、がん以外にも、膵臓には膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性囊胞腫瘍(MCN)、神経内分泌腫瘍(P-NET)といった比較的稀な疾患もあり、これらの疾患の切除経験も多数有しています。

ページの先頭へ戻る

鼠径ヘルニア

当院では鼠径ヘルニア(いわゆる脱腸)の手術も積極的に行っています。手術法としては、以前より腰椎麻酔または膨潤(局所)麻酔で鼠径部(足の付け根)に数cmの切開を置く手術を行っていましたが、この手術法に加えて、2014年より全身麻酔下の腹腔鏡手術も行っています。

この方法では、腹部に1cm前後の小さな切開を計3か所おいて行いますが、術後の創(きず)の痛みが少ないことや、左右両側のヘルニアがある場合にも創を増やさずに同じ創で同時に治療が可能である等の利点があります。どちらの手術法も、通常手術前日に入院していただき、術後2-3日目に退院していただけます。

ページの先頭へ戻る

急性虫垂炎

いわゆるアッペといわれる一般的救急疾患ですが、軽症から重症まで幅広く、適切な対応が必要です。軽症の場合、抗生剤投与にて保存的に軽快することも多いのですが、症状や希望に応じて手術を選択します。現在、ほぼ前例が腹腔鏡手術(5-10mmの創が3ヵ所)で完遂しており、術後回復や美容的面からも優れた方法と考えます。もちろん、汎発性腹膜炎や重症例では開腹手術を選択する場合もあります。

また、近年はCTにより膿瘍形成性虫垂炎と診断した場合、緊急手術では回盲部切除などの拡大手術となる可能性や感染等の合併症が多くなることから、抗生剤投与による保存的治療を積極的に取り入れています。軽快退院後に外来で大腸内視鏡やCT検査で悪性疾患の検索を行い、希望に応じて2-3ヶ月後に腹腔鏡下虫垂切除(interval appendectomy)を行い、良好な治療成績を得ています。

ページの先頭へ戻る

化学療法

化学療法の力無くしては癌と戦いきることはできません。私たちは手術を行う外科医ですが、化学療法にも力を入れています。治療は原則当科主治医が行いますが、日本臨床腫瘍学会のがん薬物療法専門医である東北大学腫瘍内科医による週二回(火・木曜)の化学療法科外来に治療の相談・依頼することも多く、その選択は自由です。

もちろん入院治療が必要な場合は当科主治医が対応します。外来治療室(化学療法)及び病棟では、化学療法認定看護師を中心に、厳しい試験と実地訓練に合格したIVナースが点滴の確保を行う当院独自の認定システムのもと、安全な治療を心がけています。

ページの先頭へ戻る

周術期管理

当院では、東北における先がけで栄養サポートチーム(NST)が立ち上がっており、以前より積極的に経腸栄養を導入してきました。チームによる病棟ラウンド、4名の臨床栄養士によるこまめな食事指導、免疫力向上や抗炎症作用を有するシスチン・テアニン(アミノ酸)及び各種補助食品・栄養剤の提供などのこまやかな栄養管理により、周術期管理を行っております。

また、高齢者の手術も多い当科では、術後血栓予防に力を入れており、全身麻酔全例に術中-術翌日まで間欠的空気圧迫法(フットポンプ)あるいは弾性ストッキングを使用, 悪性疾患には術後に凝固阻害薬(Fondaparinux)の投与を行っております。また、臨床検査技師の協力のもと、血栓マーカー(D-dimer)測定と下肢エコー検査による深部静脈血栓(DVT)の早期発見に努め、肺梗塞などの致死的血栓症を未然に防ぐ努力を続けています。

ページの先頭へ戻る

ページの先頭へ戻る

Copyright © Sendai Open Hospital. All Rights Reserved.